子どもの食と健康お話し会in津山
久しぶりの更新でごめんなさい。
最近、書きたいことはたくさんあるのにブログを更新できなない日々です。
先日、津山にある私が大好きなお店「子どもの絵本とおもちゃ・ゆめさく」さんからお声をかけていただき、子育て集いの広場で、「子どもの食と健康」をテーマにというというご依頼で、お話し会をしてきました。
ありがたいことに、私が告知をする間もなくすぐに定員いっぱいになり、お子さんもお母さんと同じ会場で遊びながら、私もゆっくりお話しすることができました。
お話し会の企画や、こんなに母子でゆっくりできる場をしつらえてくださったゆめさくさんには本当に感謝です。
今の私たちをとりまく食の環境は、不自然なものだらけ。
食品添加物、遺伝子組み換え食品、トランス脂肪酸、ポストハーベストの問題など・・・分かりにくい形で巧妙に私たちの食に入り込んでいて、ちょっと調べ始めるとその多さにびっくりします。
例えば、遺伝子組み換え食品のこと。
遺伝子組み換えのコーンや大豆など日本は遺伝子組み換え作物や食品の輸入大国です。
「ちゃんと遺伝子組み換えでないを選んで買っているわ」という人も多いかと思うのですが、この表示義務があるのは豆腐、納豆、味噌、豆乳、コーンスターチなど、ほんの一部のみ(しかも5%以下の混入なら表示義務なしとか・・・)。
多くは私たちが分からない形で、普通に店頭に並んでいます。
・遺伝子組み換えコーンなど飼料として使われその肉や卵や乳製品
・サラダ油や大豆油、コーン油、キャノーラ油などの食用油
・「果糖ぶどう糖液糖」という形でペットボトル飲料
・ 醤油やみりん風調味料、醸造用アルコール、マヨネーズなどの調味料
・「植物油脂、油脂、マーガリン、ショートニング、ホイップクリーム」などが含まれるお菓子類やコーンフレークやカレールーなど
これらは、組み換えDNAやそれによって生成したたんぱく質が含まれない食品として、遺伝子組み換えの表示義務もないのです。
映画「キングコーン」を見たときに、アメリカ人大学生の毛髪を調べたら、あなたの髪の毛はトウモロコシからできているよというシーンが出てきます。
彼らはそんなに食べた覚えがないのに・・・、食肉、卵、牛乳、など畜産のエサとして、油脂や糖類に加工されて、ありとあらゆる形で取り込まれて知らず知らずのうちに大量に食べているのです。
そして、遺伝子組み換え食品がどんな健康影響を及ぼすかは、ドキュメンタリー映画「世界が食べられなくなる日」に詳しく出てきます。
遺伝子組み換え作物とそれに耐性のある除草剤ラウンドアップをセットで開発・販売しているモンサント社は、3ヶ月のラット実験で安全宣言を出しています。
この「世界が食べられなくなる日」の中に、フランスのカーン大学・セラリーニ教授らの研究チームの実験映像が出てきます。
ラットをグループ分けし、遺伝子組み換えコーンをエサとして使用したり、ラウンドアップを微量に混ぜた飲み水などを使用する等、ラットの健康状態を調べる2年にもわたる長期実験結果です。
2年はラットの平均寿命で、実験4ヶ月目から体調に異常が出始めたり、大きな腫瘍ができて早死にしていくラットの姿は目を覆いたくなる映像です。
人間に置きかえると10歳くらいの3ヶ月という期間でモンサント社は安全宣言を出していることになるので、セラリーニ教授らの長期実験の結果はとても興味深いです。
実験結果の詳細はこちら
この実験について、信憑性があるのかという声もあるそうですが、逆に言うと、わずか3ヶ月の実験で安全宣言を出してしまうのもどうなのかと心配です。
そして、遺伝子組み換え作物は、殺虫成分を作物自体に持たせたものや、除草剤を散布しても枯れないように遺伝子を操作されたもので、そんな作物から作った不自然な食べ物を日々子どもに食べさせても食べても大丈夫か?という素朴な疑問はわきますよね。
映画「キングコーン」の中では、主人公の大学生達が、自分たちで栽培した遺伝子組み換えコーンを収穫したてをかじってみたら「木くず」のような味だったそうで思わず吐き出してしまうシーンが出てきます。
化学薬品を使って加工しないと食べられない工業製品のコーン。
もし「そんな食べもの気持ちが悪い」と思うのなら、その直感は大事にされたほうがいいのかなぁと思う。
他にもお話し会で、食品添加物や、ポストハーベスト、トランス脂肪酸についてなどお話しさせていただきました。
「食品の裏側」という本でも安部司さんが「台所にないものが記載されていたらそれは食品添加物」と分かりやすく解説されています。そして、様々な食品添加物が複合的に取り込まれたらどうなるかはきちんと検証されていないと書かれています。
これはとあるスナック菓子の原材料。
これだけのいろいろなものを複合的に体に取り入れたら、長期的にどんな影響が出るか?
強烈な旨みのたんぱく加水分解物や化学調味料に慣れてしまうと、味覚がどんどん濃い味を求めるようになっていきます。
昨年のニュースですが、子どもの味覚について東京医科歯科大学の研究グループがおよそ350人を対象に調べたところ、30%余りの子どもが「甘み」「酸味」など基本となる4つの味覚のいずれかを認識できなかったそうです。記事のリンクはこちら。
味覚を認識できなかった子どもはジュースを毎日飲んでいたり、野菜の摂取が少なかったりしたほか、ファストフードなどの加工食品を好む傾向も見られたそうです。
そうした味覚だと当然ながら将来の生活習慣病につながりやすくなります。
昔はほとんどなかったアレルギーが、今は低年齢になるほど、アレルギーの疾患の子が年々増えているのもこうした食のこととまったく無関係とは言い切れない状況です。
ただ、こうしたお話しをすると、
「食べるものがまったくない・・・何を食べればいいの?」
と悲観モードになってしまうのですが、冷えとり健康法の進藤義晴先生の著書に、心の毒(精神的ストレス)は体の毒の何倍にもなると書かれていたように、本来楽しいはずの食をストレスにしてはいけないと思うのです。
以前は私も「自然栽培以外なるべく食べないようにする」とかストイックに実践していた時期もありました。
でも子どもができてからはまた状況が変わりました。
子どもを預ける園の給食・親戚や地域の方とのつきあい・そして子ども自身の「食べたい」という欲求とどう付き合うか・・・。
たまに近所の方からいただくお菓子や保育園からのお菓子に、いちいち目くじらを立てるのは、子どもがお世話になっている方々の好意を否定し、結果として子どもにストレスを与えることになってしまう。
だから私は家での食事は気をつけていますが、たまに息子が近所のおじいちゃんからいただいたお菓子はありがたくいただいています。
給食にいろいろ言う方もいるけど、給食でさえ食数の割合は年間にすると18%位(小学校の場合)だから、子どもの食の82%は家庭に委ねられています。私が働いていた学校現場で栄養士さんにこの話を聞いたときには目からウロコでした。
だから子どもがお世話になっている園にあれこれ言う前に、まずは家での食事やおやつに気をつける。
(もちろん園や学校の給食がより良くなれば理想ですよね)
地域のお祭でも、息子の祖父母からもらったお小遣いを使うという約束で、わたあめとか焼きそばとか好きなもの食べさせています。
自分が小さかった頃、出店を回ってあのワクワクした気持ちを子どもから取り上げたら、どれだけ悲しいことかと思う。
6歳の息子も普段の食事を気をつけていると、敏感に体が反応するみたいで、お祭りであれこれ食べると、翌日お腹が痛くなってトイレに駆け込んだり、口内炎ができるから十分に分かっています。
でも「たまには口内炎できてもいいよね」とか言いながら食べています。
こうして子ども自身に体感させる前に「ダメ・ダメ」言っていたら子どももワケが分からないと思うのです。
食は美味しく楽しいのが一番。
多少入ってしまっても不必要なものはちゃんと出す力がある。
でも、体は食べたものでできているから、メインの家庭の食は大切にする。
そして、視点を変えること。
「安全な食ではなく体が喜ぶ美味しいものを食べること」
「安全だから」「体にいいから」という基準だけで、食べものを選び、「安全で健康な食卓」ってハッピーでしょうか?
もちろん、それもある程度ならいいことなのでしょうけど、料理が冷めてしまっていたり、美味しくないなぁと思いながらも減塩調味料ばかり使うのはどうかと思うのです。
私は「安全だから」という基準より、自然のままに栽培していたり、昔ながらの製法で体が美味しいと思えるものを大切にしています。
調味料も、精製塩より自然塩のほうがほのかに甘みがあって奥深い味で美味しいし、白砂糖よりもキビ砂糖の方がコクがあってぜんぜん美味しい。
サラダ油より、菜種油の方が胃にもたれない。
「本物は美味しい」のです。これってすごく幸せなこと。
野菜も然り。スーパーの慣行栽培のものだと形は大きくきれいでも水分ばかり多くて苦みがあったりして、煮物をしても、ついみりんや砂糖を多く入れてしまいます。
それに対し、自然のリズムでゆっくり育ったお野菜はずっしりと重くて、シンプルに塩をふって菜種油で焼いてお醤油をたらしただけの大根ステーキが甘くて瑞々しくてめちゃめちゃ美味しい。こうした食事をしていると「食べる」って単に「栄養」を取り入れるではなく、美味しいって思う瞬間に「命をいただいている」ことが、しみじみと分かってきます。
農薬どころか肥料をまったく使わないのに、こんなに立派に育っている蒜山耕藝さんの大根は生命力がぎっしり詰まっています。
「また大根ステーキ作って」と息子のリクエストで昨日も購入しました。
他にも地元の方で「自然栽培」という言葉を使っていなくても、当たり前に農薬も肥料も使っていないお野菜を作っているおばあちゃんがいたり、そうした方々から新鮮なお野菜をすぐにいただけるのは田舎ならではの贅沢さです。
安全な物を探し続けると他が危険な物に見えてブルーになりますが、「美味しいもの」を探すのはとても楽しいことです。
だから「食べられるものがまったくない」ではなくて
「探してみればこんな時代に美味しくていいものを作る生産者さんがたくさんいる」
「病院や薬にお金を払うより、美味しくて家族がハッピーになれるものにお金を払う」
「季節折々の食材をどう調理するかを楽しみにする」
それらにフォーカスして、生産者さんを応援するつもりで買いものをする。
お買い物って未来への投票です。
私たちが安い食ばかりを求めていたら生産者もそれに応えるしかなくなってしまいます。
目先の損得ではなく、未来を担う子ども達に、何を残したいかを考えて買いものをする、
すべてが実践できなくても、まずは無添加・天然醸造の調味料とかできるところから・・・。
近くのお店になかったら、ニーズを伝えることも大切ですよね。
私たちの買いものが少しずつ世界を変えると思うとワクワクしませんか?
お話し会の終わりに、真庭市月田のナチュラルスイーツ店、月と田んぼさんのクッキーをプレゼントしました。
小麦粉(津山産)、玄米粉(真庭産)、菜種油(鹿児島県産)、有機メープルシロップ、自然塩、これらがベースの玄米粉ニコニコクッキーと、ピンク色の無農薬ビーツ(真庭産)と、茶色の無農薬タカキビ粉(真庭産)のくるくるクッキー。
(白砂糖・卵・乳製品不使用)
参加者の皆さんがクッキーを美味しい!と喜んでくれて、「気をつけながらも楽しくやっていきたいです」と感想をくださって、私も嬉しかったです。
未来の子ども達のために、こんな作り手さんや生産者さん達を応援していけたらと思うのです。