勝山喧嘩だんじり2015
山が色づきはじめ、空気が澄みわたった秋晴れの日。
地元のお祭り、勝山喧嘩だんじりが始まりました。
10月18日の宵祭りの日は日曜日。
宵祭りは6時過ぎスタートなので私は日中は家のことをしたいのに、お祭りっ子の息子は朝から待ちきれなくて、太鼓や鐘の音がするたびに「だんじりの音がする〜!」と法被を着て家をとびだしていきます。
各詰め所で出陣前のだんじりを見つけるたびに、眺めたりスリスリ触ったり、太鼓の音を聴かせてもらったり、詰所のおじちゃんと話をしたり、楽しそう〜。
そして息子が乗せてもらう地域のだんじりを探し回り、ようやく見つけて乗せてもらいました。
だんじりは夕方頃から鐘と太鼓を鳴らしながら「おいさぁーおいさぁー」と町を練り歩き始めます。
国道も堂々と通るのでびっくり!
当然だんじりの後ろは渋滞ですが誰もクラクションなんて鳴らしません。
時折、だんじりが走ったりするので、親も走ってだんじりを追いかけてけっこう大変(^^;
そうして、地域を巡り「乗せて〜!」とどんどん途中乗車してくる子ども達。
この日は宵祭なので車体検査として新町商店街で軽くだんじり同士をぶつけ合います。
軽くとはいえ2トン級のだんじりがぶつかり合うので迫力があり息子はすでに大興奮。
紅白幕や提灯の飾られた町並みは華やかで、明日からの本番が楽しみ。
翌日、19日は御祭礼。朝は勝山の東西南北にある各神社のお神輿が石段を降りてきます。
この神社の石段は、とてもとても急なので、昨年初めて重たいお神輿をかついで下りるのを見たときにはびっくりしました。
だんじりはもともと神様が乗るお神輿のお供だそうで、この日もお神輿の後を11台のだんじりがお供します。子ども達もだんじりに乗り高田神社までの神詣のお供をします。
でもこのお神輿の神様がとても気まぐれで何度も行ったり来たり、そのたびにだんじりも急に後方に下がったりするのですが、すぐには下がれなくて「下げー下げー」というかけ声で、だんじり同士ぶつかりそうになりながら下がったり、なかなか進まないけれどそれがまた楽しいのです。
そして必見なのは、1日目に到着した高田神社で14時からのお神輿の練り回し(追い回し?)
重たい神輿をかついで走る走る!すごい迫力です。
(今年はタイミングが合わなかったので昨年の写真です)
そして日が暮れたらいよいよだんじり喧嘩が始まります。
4つの喧嘩場でスケジュールで決められた対戦。
だんじり同士がぶつかり合うと「ドーン」という音が地面を揺らす。
はげしく鳴る鐘と太鼓の音。
助走をつけてトップスピードでぶつかるから、だんじりの木片が飛び散るほどの迫力。
昨日の宵祭とは違う、本気のぶつけ合いに私も血が騒ぐ〜。
観覧席も人でいっぱい。
地域内外からお客さんが大勢訪れて喧嘩を楽しみます。
いいなぁと思ったのは、喧嘩にあえて勝敗をつけないところ。
でもその場にいる人たちは、どちらが押しているかとか互角の勝負かとかだいたい分かります。
あえて白黒つけないことが、祭りが終わった後も同じ勝山の地域同士仲良くやっていける秘訣だそうです。
喧嘩場が4つあるのも、歩いて気分転換になるし、色々な場所から見ることができていいですね。
喧嘩場を移動する間も子どもを乗せてくれます。息子は強くてカッコいい自分の地域のだんじりに乗れて鼻高々です。
喧嘩はなんと10時半頃まで続きます。
でもこの2日間は保育園を休む子も多いし、小学校は2校時まで。
喧嘩が終わって息子にも遅いから早めに帰ろうよと言っても、だんじりに最後まで乗って詰所まで行きたいと頑として聞きません(苦笑)。
翌日の20日も息子の乗るだんじりについて歩き、楽しみなのは午後3時からの「だんじり太鼓山登城レース」。
まずはお神輿が駆け上がり、各11台のだんじりも太鼓山への坂を走って登りタイムを競います。
ちょうどこの坂の上にある勝山こども園の子達も「がんばれー!」と応援します。
こども園の目の前にだんじりが来てくれて、子ども達が「わぁ〜!だんじり来たー!」大喜びで手を振ります。
まるでだんじりがTVの何とかレンジャーのような人気っぷり。
そして夜も2日目の喧嘩。
息子の友達のお父さんや、誰かしら知り合いが出ているので
応援するのも楽しいです。
最後の大トリの喧嘩は最高に盛り上がりました。
私も息子も「がんばれー!!!」と声の限り応援しました。
そして大トリの喧嘩の後は恒例の餅投げ。
息子が興奮して拾い集めてお陰でたくさんいただきました。
フィナーレは喧嘩したすべてのだんじりが集まり、各総代の言葉とあちこちで鐘が鳴り響き胴上げがあり、若い子達が飛び跳ねて踊り、場は最高潮に盛り上がる。
昨年も感じたけど、祭りを通して勝山の町がひとつになるこの瞬間がたまらない。
勝山の町に来て本当に良かったと思える。
息子は同じ地域のおじちゃんから「中学生になったら押せるよ」と教えてもらい、
「中学生になったらボクもだんじりを押したい。だんじりがあるからずーっと勝山にいたい!」と今から言うくらいだんじりに夢中。
翌日の保育園のお迎え時もミニだんじりを「おいさぁーおいさぁー」と押して遊んでいました。
こんな精巧な木製だんじりを子ども達のために作ってくれるなんて、保育園の先生?地域のおじさんかな?
遊び心と思いやりがたっぷりで本当に素敵だと思う。
郷土愛とか教え込むものでなく、こうしてひとつのことに向かって大人も子どもも地域ぐるみで夢中になって取り組み、楽しさや大変さなどそれぞれ一緒の時間を共有し育まれていくものなんだとしみじみと思う。
100年以上前の江戸時代から続く勝山喧嘩だんじりと旭川が流れる町の風景。
こんな美しい風景と素晴らしいお祭りを守り続けている地域の皆さん、本当に本当にありがとうございます。