本としおりと〜ラクリエさんのワークショップ〜
ちょっと前のことですが、息子が保育園から帰ると通園バッグから「ボクが作ったんだ〜!」と素敵な革のしおりを出してくれました。
勝山で革製品(バッグや革小物)を作っているLa crie(ラクリエ)の宮本祐樹さんが息子の通う保育園で革のしおり作りのワークショップをしてくれたそうです。
宮本さんは息子がよく一緒に遊ぶお友達Tちゃんのお父さん。
しおりを作って帰ってきた日は、しおりの作り方について話してくれましたが、翌日なってから急に思い出したようにワークショップで宮本さんに教わったことをいろいろ話してくれました。
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このしおりはね、お肉になる牛さんの皮をもらっているんだよ。
命をいただいているから、食べるとき「いただきます」っていうこと。
Tちゃんのお父さんはね、20歳くらいまで本をあまり読んでいなかったけど、本を読むことでいろんなことを知ることができた。
そして今の革を使うお仕事もするようになった。
大人になったら子どもの頃みたいに先生から教えてもらえなくなる。
だから本を読むことがすごく大事。
Tちゃんのお父さんにとっては本が先生なんだって言っていたよ。
だから本が好きになってもらえるように「しおり」がいいかなぁと思ったんだって。
このしおりはずっと使ってると色が変わっていくんだって。
白いクリームみたいのをぬって、木でツルツルになるまでこすって、穴をあけたり紐を通して結んだり、すごく大変だったけど楽しかった。
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保育園のことを、そんなに家で話す子ではないのですが、よほど印象に残ったらしく、一生懸命思い出そうと目をくるくると上に動かしながら話をしてくれました。
ただ作るだけじゃなく、命をいただく大切さ、本好きな子になってほしいと「しおり」に願いをこめた宮本さんの思いが伝わってきます。
こんな風に子どもの心に残るいい話をしていただいてありがたいなぁ。
そして、公立の保育園でこんな経験させてくれるって、なかなかないこと。
来年から息子が通う勝山小学校でも、毎年小学3年生は勝山の町並みをのれんで彩る、ひのき草木染め染め織り工房の加納容子さんに「のれん作り」を教わる授業があったり、作家さんの集まる勝山ならではだなぁと思うのです。
他にも、先月は勝山町並み体験クラフト市で張り子のお面を作ったり、
つい先日は、近所のカフェ&ギャラリー てあで田中今子さんの作品展を楽しんだり、
自然豊かな田舎でありながら、子どもがアートに触れる機会がたくさんあって、本当にありがたいのです。
さて、我が家では寝る前に絵本を読むのが習慣なのですが、最近は、長いお話を少しずつ楽しむようになってきて、今日も「お話の続きは明日ね」と、息子は自分で作った革のしおりを大切そうに本に挟んでいました。
今夜の絵本は、パロル舎の画本・宮澤賢治シリーズの「どんぐりと山猫」。
私が子どもの頃、家族で青梅に遊びに行ったときに母が買ってくれた思い出の本。
シュールでリズム感のある賢治ワールドの文体の素晴らしさもさることながら、挿絵の小林敏也さんの版画が大好きなのです。
どんぐり達がワイワイ言い争いをしたり、迫力と愛嬌たっぷりの山猫や、ちょっと間抜けな馬車別当に息子がキャッキャッと喜び、もう2回も3回もリクエストで読んでいます。
絵本は子どもにとって一番身近なアートだと思う。
息子の成長と共に、このしおりがどんな色になっていくのか楽しみです。
ラクリエさんのワークショップの様子はこちら↓